昔ながらの製造技術を誇りに新分野にチャレンジし続ける"日本の夢工房"

2019/05/13

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試作の匠
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東京・板橋区にある「JDF株式会社」は単品の試作から量産まで幅広いモノづくりのニーズに応える少数精鋭の技術集団です。JDFとは、Japan Dream Factoryの略称。アイデア商品の具現化や医療現場で活躍できるこれまでにない何か、航空宇宙技術開発研究関連の部品製作など、つくれるものは多岐に渡ります。自信を持つのは切削加工の設備と、チャレンジ精神。特許にも詳しい七井宗芳社長をはじめとする、モノ作りに情熱を燃やすスタッフが、言語ベースのアイデアから設計図の具現化まで、あたたかく、かつ確実なサポートをしてくれる。

 

量産から一品モノへの転換

日本のモノづくり技術のレベルは世界的に見ても高く、古くから評価され続けています。「Japan Dream Factory (JDF)株式会社」は、企画・設計から、あらゆる設計図の具現化まで。旋盤加工やフライス加工を主体とする装備と技術でモノづくりを行うテクニカル集団です。

 

「うちはね、全部で8人。本当に少人数の会社なんです。けれど、これだけの少人数でも"日本の夢工房"という気概を持って働ける設備と環境とご依頼(仕事)があるんです。それに、モノづくりをビジネスとして展開する組織として、"Japan Dream Factory (JDF)"というのは、とてもワクワクする楽しいネーミングだと思っています。●●製作所よりも夢がありますよね」

と、JDF株式会社の田中勝広さん。設計や企画、デザインを得意とする七井宗芳社長のとなりで、実際に機械を用いて製造する社内の技術者代表として同社のモノ作りについて話してくださいます。

 

「まず『うちでどんなものがつくれるのか』というお話の前に、会社のこれまでをお伝えします。JDFは試作・単品モノに特化する以前より、ずっとモノ作りに携わり、育ってきた会社です。そのモノ作りのスタイルにおいて、かつて長らく日本に求められていたのは"量産"でした。つまり、いかに数多くのものを、いかに低コストでつくれるか、ということが大事になります。弊社の前身の会社も、量産のための設備を揃え、モノ作りを行なっていました。

 

しかし次第に量産に元気が無くなります。つまり、市場の頭打ちが見えてきたんです。そうして、より安く生産できる海外に製造工場が流れていきます。それを見ているうちに、うちは試作や一品モノへと着眼点を移しました。量産の時代の"こういう設備があるから、こういうモノしか作れない"という考え方を根本的に変えていかなければいけないのではないか?という気づきから、オーダーされたものはなんでも具現化するという技術集団へ。徐々に現在のJDFのカタチにシフトしていきました」

 

培った技術を誇りに、得意の切削加工に磨きを

「単品モノ、一品モノをつくれるように設備の変更などを行った後、試しにつくる、誰もが作った経歴がないものをと『試作』のオーダーくるようになりました。ご依頼いただいたモノ作りは、基本的にオールマイティーに色々挑戦するというのが弊社のスタンスです。少数精鋭でチャレンジ精神に満ちた職場です」と田中さん。少人数精鋭の組織の利点は、小さな組織だからこそ可能な小回り。依頼を受けたら比較的すぐに着手することができるそうです。

 

実際、相談内容は非常に幅が広く、一般の方(例えば主婦)の言語ベースのひらめきから企業や研究機関の設計図を元につくる内容まであります。アイデア商品は、図面化するところから親身になって対応します 。

 

 「半導体やロボットのご相談もあります。単品のほか、まだまだ量産も受けていますよ。最近の中で印象的なのはJAXA様のご相談ですね。ちょうど先ほども、ロケットエンジンの燃料のインジェクターのパーツを収めたばかりです。そういった開発部門からのご依頼はカタチが難しいというのもありますが、加工する素材も扱いが難しいという二重の大変さがあります。加工しづらい素材だったり、そもそも加工したことがない素材だったり。開発者の『思った通りのかたち』を実現するために、我々はチャレンジします」

加えて、医療系の現場で用いる補助用具の企画・開発もJDFの強みの一つです。先生からの「こういうものをつくってほしいという依頼」に柔軟に対応してきた実績があります。

 

例えば訪問介護の時などに役立つ、アルミニウム製のX線発生装置スタンドは特許を取得しました。

 

同社・七井社長は一般社団法人発明学会の理事も兼任。特許製品の開発にも理解が深く、特許を駆使してご相談者とともに成長していく戦略を練ることにも長けています。

「過去には、水に濡れたら振動をするセンサーをつけた盲目の方用の杖を考えたんです。そうすれば、目の見えない方が誤って水たまりに入ってしまうのを防げますよね。けれど後からわかったことは、目の見えない人は普通の杖で水たまりがあることを認識できるということでした。彼らにとって杖は、まるっきり自分の指と一緒なんです。実際の立場にならないとわからないことは、山ほどあります」

 

実際につくってみて分かることがたくさんあるのと同様に、実際の立場にならなければ分からないことも豊富にあります。特許についても、まずはインターネットや書籍などで「既存のものでないか」を調べることはもちろん、本当に社会に「求められているか」「必要なのか」をきちんと検討する必要もあるのです。

 

熱意と誠意に満ちた"日本の夢工房"

相談内容に対して、正確に、迅速に、そして親身になって親切・丁寧に対応。企画・設計から、精密部品の製造、デザイン案件まで幅広く、品質の高い一点モノをワンオフで製造できる設備と技術者とネットワークが同社にはあります。

 

「かつてウチはモーターやエンジン部品を製造していました。1種類が1万個という本当の量産の時代です。日本にとってはモノづくりが一番元気だった時代と言えるかもしれません。

 

だんだん設備も変わり、つくるモノが変わった。JDFとしての歴史は浅いかもしれないが、先代から引き継いだ技術とモノづくりのスピリットは変わっていません。

新しい分野に積極的に挑戦し続けていますが、ただ新しいモノをつくるだけの試作屋ではありませんよ」

 

様々な分野のアイデアをスピーディーに設計・試作する熱意と誠意にあふれた技術集団。アルミやステンレス、銅、鉄はもちろん、そのほかの素材を用いた試作も、高精度、納期厳守で具現化してくれます。

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