抜き加工に使われる「タレットパンチプレス」(タレパン)の特徴とは

2022/01/24

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機械加工
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タレパン01

タレットパンチプレスのメリット・デメリットは、型抜きプレス加工と比較するか、レーザー加工と比較するかで大きく変わってきます。それぞれ一長一短ですが、特に精密板金・試作板金の中の一工程として使う場合は、「タレットパンチプレスにするか、レーザー加工にするか」で迷うところではないでしょうか。

 

外注する際の業者選びにも影響してくるでしょうから、これら3種類の違いをしっかりと理解しておきましょう。

 

タレットパンチプレスとは

この場合のタレット(turret)とは、「旋回式」や「回転盤」ぐらいの意味です。円形あるいは扇型のホルダーに、いくつもの金型をセットしておき、それを順番に繰り出します。

 

素材の金属板はテーブルの上に固定されていて、テーブルごと前後左右に動くことで、金型が落ちてくる位置に合わせます。それを複雑に組み合わせるので、人間の手作業では到底間に合いません。パソコンによって作られたプログラムに従って自動運転するNC制御で作業します。

 

また、一般的な打ち抜き加工(型抜きプレス加工)では専用の金型を作って、それを金属板に一発だけ打ち下ろします。一方、タレットパンチプレスで使われる金型は汎用(はんよう)のものです。四角や円形といったようにすでに形の決まったものしかありません。とはいえ、それぞれ形の違うものを何種類も使って重ねて加工することで、意外に複雑な抜き加工やプレス加工もできます。ひとつの金属板に対して使う金型は数十種類になることも珍しくありません。

 

タレットパンチプレスのメリット・デメリット

タレパン02

主に型抜きプレス加工と比較した場合の、タレットパンチプレスのメリット・デメリットは次のとおりです。

 

メリット

  • 加工スピートが早く、納期の短縮につながる。
  • 自動化しやすいので、人件費を削減できる。扱う人による差も少ないので、熟練の技術者の必要性も小さい。
  • 打ち抜き作業だけではなく、前後の作業も自動化されているので、作業者への危険性も小さい。
  • ランニングコストが安い。
  • 金型の組み合わせ次第で、複雑なものも作ることができる。

 

デメリット

  • 初期投資は高額。機械は数千万円かそれ以上になる。
  • 大型設備なので、その分のスペースも必要になる。
  • 打ち抜くことのできる厚みはせいぜい3ミリ程度でしかない。
  • プログラミングで製品の良しあしが変わってくるので、そのプログラミングに詳しいスタッフも必要になる。

 

もうひとつの選択肢・レーザー加工との比較

精密板金・試作板金は名前に「板金」とついているのにもかかわらず、実際には曲げ加工だけではなく、抜き加工・溶接などまで含まれることが珍しくありません。その抜き加工では、タレットパンチプレスを使うこともあれば、その代わりにレーザーを使うこともあります。

 

レーザー加工側のメリット

  • 抜く形は自由に決められる。また、レーザー加工でも金属板の厚みの限界は30ミリ程度とされるが、タレットパンチプレスはその10分の1程度でしかない。
  • プログラミングが必要になるほどの複雑な動かし方はしない。グラフィックソフト程度で済む。
  • 型によって押し抜くタレットパンチプレスでは、どうしてもバリが出たり、切断面が荒れたりしがちになる。一方、熱のエネルギーで切るレーザーは切断面がなめらかになる。
  • タレットパンチプレスでは金型は摩耗したり変形したりするため、その金型のメンテナンスが必要になる。レーザーでも加工レンズなどメンテンナンスが必要だが、金型ほど頻繁で面倒なものではない。
  • 日々の操作開始時にも必要な準備は簡単で済む。

 

レーザー加工側のデメリット

  • 加工速度が遅い。
  • タレットパンチプレスに比べると装置も交換部品も値段が高い。その上、電力も大量消費する
  • 特に古い機種の場合、銅や純アルミといった光の反射率が高い金属は苦手にしている。
  • 熱の影響で切断面が変色する。見た目を気にする場合は、研磨などの加工が必要になる。

 

日進月歩のライバル・レーザー加工への注意を忘れずに

タレパン03

NC制御をしているとはいえ、打ち抜き作業自体は、金型を振り落とすという原始的といってもいいぐらいのやり方です。ここからの進歩はあまり期待できないのではないでしょうか。

 

一方、レーザーの場合は、比較的最近登場したこともあって、まだまだ新しい工夫が重ねられている最中です。例えば、不得意だった反射率の高い金属も克服しつつあります。とはいえ、コスト高といったデメリットも無視しきれません。

 

外注する場合の業者選びには、最新の情報に対して感度を高くしておく必要があると言えますね。

板金加工や素材でお悩みがございましたら、お気軽にShisaku.comまでご連絡くださいませ。

 

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